空き家の共有名義を放置した場合に起こる問題
放置されがちな共有名義空き家の背景とは?
共有名義の空き家は、「誰が管理するのか決まらない」「売却の合意が取れない」といった理由で、何年も放置されることが少なくありません。
とくに相続で取得した実家などは、複数人の兄弟姉妹が関わることで話し合いが難航し、結局「動けないまま放置」されてしまうことが多いのです。
しかし、そのままにしておくことには大きな法的・金銭的リスクが伴います。
空き家の放置は「時間が解決してくれる」ものではなく、むしろ問題を深刻化させる原因となるのです。
放置によって発生する具体的なリスク
以下のようなトラブルが、空き家を共有名義で放置した場合に発生しやすくなります。
リスクの種類 | 具体的な内容 |
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固定資産税の支払いトラブル | 代表者が負担していると不満や争いの種に |
建物の劣化による近隣クレーム | 倒壊・悪臭・不法侵入など、周辺住民から苦情が入る |
法的トラブル | 共有者の同意が取れず売却や処分が進まない |
空き家特措法による勧告・課税強化 | 特定空き家に指定され、税負担が6倍になる可能性も |
放置しているだけでコストは増え、資産価値は下がり、トラブルだけが積み上がっていきます。
とくに「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置がなくなり、課税額が急増するリスクがあります。
さらに行政からの「勧告」や「命令」に従わない場合には、最終的に強制執行の対象になることも。
実際にあった相談事例

放置された空き家は、行政からの指導対象になったり、近隣トラブルを引き起こすケースも。できるだけ早い段階で共有整理や売却を検討することをおすすめします。
さらに起こりうるリスクと放置の弊害
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台風や地震などの自然災害で倒壊した場合、損害賠償の責任は共有者全員に及ぶ
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不法侵入者による火災や犯罪の温床になるケースもある
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空き家の見た目が悪く、地域全体の地価にも影響を与えることがある
空き家の共有名義を放置する前に考えるべき対策とは
問題が深刻化する前にできること
空き家の共有問題は、後回しにすればするほど「共有者の合意形成」が難しくなる傾向にあります。
とくに高齢の共有者がいる場合、認知機能の低下や亡くなったことによる「次の相続」が発生し、さらに登場人物が増えることで、問題の解決が一層困難になります。
そのため、今すぐ取りかかるべき対策には以下のような選択肢があります。
対応策 | 内容とメリット |
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共有者間での話し合い | まずは合意形成の場を設け、売却や維持方針を明確にする |
持分のみを売却 | 他の共有者が反対していても、自分の持分は売却可能 |
単独名義化 | 他の持分を買い取ってもらい、意思決定を一本化する |
専門家の活用 | 司法書士・不動産会社など第三者のサポートで調整を進める |
持分売却という現実的な手段
共有名義であることがネックとなり、空き家の売却が困難になるケースは少なくありません。
しかし、「自分の持分だけ売却する」という方法は法的にも認められており、実際に活用する人も増えています。

兄弟との話し合いが全然進まないので、自分の持分だけでも売れないかなと考えています。

持分売却は有効な手段です。買い手は限られますが、専門業者であれば買取対応が可能です。まずは査定を受けてみましょう。
持分買取業者は、共有名義の特性を理解したうえで、速やかな売却や交渉代行を行うプロフェッショナルです。
空き家を「動かない不動産」から「流動化できる資産」に変えることが、トラブル回避の第一歩になります。
実際に放置して後悔した人の声も
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「兄弟が疎遠で連絡が取れなくなり、相続登記も止まったまま」
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「10年放置していたら屋根が崩れて、近隣から苦情が来た」
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「税金の通知が届かず延滞していた。督促を受けて慌てて対応した」
このように、「今は問題がない」状態でも、将来的に必ず負担や責任がのしかかってくるのが空き家問題の本質です。
空き家の共有名義を放置することで、時間とともに問題が深刻化し、法的・経済的な負担が雪だるま式に増加していきます。共有者間での意思疎通や、持分売却という手段を活用することで、トラブルの芽を早期に摘むことが可能です。放置せず、今すぐ一歩を踏み出すことが最良の対策です。
相続で取得した実家が空き家のままで、兄弟3人で共有してるんですが、誰も管理してなくて…ずっと手がつけられてません。