共有持分を家族に売るのは簡単?それとも危険?
共有名義の不動産を家族に売却したいと考える方は少なくありません。特に相続や離婚などで共有状態になった不動産は、「家族内で処分した方がスムーズ」と感じやすいものです。
しかし、家族間での共有持分の売買には、税金や評価、名義変更など見落としがちなリスクが多数潜んでいます。 この記事では、家族に持分を売るときの具体的な注意点や、損を避けるためのポイントを解説します。
家族間売買の落とし穴とは?
時価より安い価格で売ると「贈与」とみなされる可能性
たとえば時価1000万円の持分を、家族に500万円で売却した場合、「差額の500万円」が贈与とみなされることがあります。
贈与と判断された場合、受け取った側に最大55%の贈与税が課せられることもあり、想定外の税負担が生じることもあります。
登記の問題にも注意が必要
不動産の持分移転には登記変更が必要です。家族間とはいえ、正式な売買契約書や登記手続きがなければ、法的に無効になるおそれもあるため注意しましょう。
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リスク項目 | 内容 |
---|---|
評価額の設定ミス | 安すぎると贈与税の課税対象になる可能性 |
登記手続き漏れ | 登記変更を怠ると所有権が移らずトラブルに発展 |
家族間トラブル | 将来的に「言った・言わない」の争いになるリスク |
税務署からの指摘 | 不適切な価格設定は税務調査の対象に |

家族間でも、契約書・価格証明・登記申請などすべての法的手続きが必要です。不備があると後々トラブルの原因になりますよ。
家族間売買がトラブルになる具体例
相続税対策で意図的に安く売却 → 贈与税が発生
あるケースでは、子どもに持分を「時価の半額」で売却し相続財産を減らすつもりが、税務署に指摘され、結果的に贈与税数百万円の納付を求められました。
このように、「節税のつもりが課税強化につながる」こともあるため、税理士などの専門家に相談することが不可欠です。
家族間売買で損をしないためのポイント
家族間で共有持分を売却する場合は、「第三者との売買以上に慎重な対応」が求められます。以下の3つの対策を事前に行うことで、不要なトラブルや課税を防ぐことができます。
適正な価格設定を行う
不動産鑑定士や税理士などの専門家に相談し、実勢価格に基づいた金額を設定することが重要です。
売主・買主双方が納得でき、かつ贈与とみなされない価格設定を心がけましょう。
売買契約書は必須
「家族だから口約束で良い」と考えがちですが、法的に有効な売買契約書を作成することが必須です。契約書の不備があると、税務署の調査や親族間の紛争の元になることもあります。
名義変更の登記手続きも忘れずに
不動産売買後は必ず登記簿上の所有者を変更する必要があります。登記の変更がなければ、法律上の所有権は移転されていないと見なされてしまうため注意しましょう。

税金がかからないように、少し安くして兄に売るつもりでしたが、それも問題になるんですね…

はい、税務署は「著しく安い取引」を贈与とみなす可能性があります。事前に適正価格を調べておくことが大切です。
家族間売買は「贈与・登記・税金」の三点セットで対策を
多くの人が見落としがちなのが、「家族間だからこそリスクが高い」という点です。
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相場より安い価格設定 → 贈与税の課税
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登記変更を怠る → 売却が無効になる可能性
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契約書なし → 法的トラブルの火種
こうしたリスクを回避するには、税理士・司法書士・不動産専門業者といった専門家の力を借りるのが最も現実的な方法です。
相談するならどこがベスト?
不動産に強い税理士や司法書士の他、共有持分に特化した不動産業者を活用するのも一つの手です。
こうした業者は、価格査定だけでなく登記・契約書・贈与税回避までトータルでサポートしてくれるため、家族間売買をスムーズに進めたい人にとって大きな味方になります。
家族間で共有持分を売却する際には、価格設定・契約書・登記手続き・税金の4つを押さえることが重要です。親しい関係であっても、法的な手続きを怠れば後々トラブルや追徴課税のリスクを招く可能性があります。専門家のサポートを受けながら、適正価格・正確な手続きで進めることが、トラブルを避ける最善策となります。
兄に私の共有持分を売るだけなら、契約書もいらないと思ってました…