離婚後に残る不動産、どうする?共有名義の整理術

離婚後の不動産共有名義の複雑化を説明するイラスト
共有名義のままではトラブルの火種に?離婚後の不動産処理をわかりやすく解説
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離婚で発生した共有持分の売却はどうする?事例付き解説

離婚後の不動産「共有名義」が複雑化する理由とは

夫婦が離婚した際、もっとも問題になりやすい財産のひとつが「不動産」です。
とくに住宅ローンを共同名義で組んでいる場合や、持分割合を夫婦で共有しているケースでは、不動産が「共有持分」として扱われることになります。

離婚の合意が成立したからといって、持分整理や売却がスムーズに進むとは限りません。
実際には、以下のような悩みを抱える方が多くいます。

離婚は成立したけど、家の名義がまだ元夫と共有のままで困ってます。放置してもいいの?

専門家

放置は危険です。共有持分のままでは売却や処分に制限がかかりますし、将来のトラブルにも発展しかねません。


そもそも「共有持分」とは?

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している状態で、各人が保有する割合のことを指します。
離婚時には以下のような形で共有持分が発生します。

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共有状態 具体例
住宅ローンを夫婦で組んだ 持分割合は基本的に出資比率に応じて設定される
夫婦が共同で土地・建物を購入 夫:2分の1/妻:2分の1 などで登記されることが多い
親族名義+夫婦名義の物件 共有者が3人以上になるケースもある

このような状況で「離婚したから関係を清算したい」と思っても、法律上は名義変更・売却・放棄など、明確な手続きが必要になります。

共有持分を売却または放棄する方法の違いと注意点を解説する図解アイキャッチ画像
共有持分売却後に起こりやすいトラブルとその予防策を解説した図解アイキャッチ画像


離婚によって起こる共有持分の悩みとは?

離婚後に共有持分をどう扱うかは、法的・感情的にも難しいテーマです。
以下のような問題が発生することがよくあります。

  • 元配偶者が名義変更に応じてくれない

  • 子どもの学区や環境を優先して売却が遅れる

  • 片方が住み続けているが、もう一方が税負担をしている

  • 将来的な相続や第三者譲渡に不安がある

「いつまでも元配偶者と不動産でつながっていたくない」という心理的負担も見逃せない要素です。


共有持分だけを売却することは可能?

結論からいえば、共有持分だけを売却することは法的に可能です。
ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 市場での流通性が低く、一般の不動産会社では扱ってもらえないことが多い

  • 買い手は主に「専門の共有持分買取業者」や「不動産投資家」

  • 売却価格は物件全体の価格に対して低めに評価されることが多い

そのため、複数業者に査定を依頼し、比較検討することが重要です。

共有持分を売却する際に準備すべき書類とチェックリストを解説する図解アイキャッチ画像
売却可能な共有持分と売れないケース・条件を解説した図解アイキャッチ画像

離婚後に共有持分を売却した実例と対策

【実例紹介】元配偶者との共有名義を解消したケース

東京都内に住むAさん(女性)は、離婚時に夫と共有で保有していたマンションの持分を手放すことにしました。

  • 名義:Aさん50%、元夫50%

  • 状況:元夫がそのまま居住中

  • 問題:Aさんはローン支払いも終了していたが、名義が残っており固定資産税も折半

Aさんは「将来的に相続やトラブルに巻き込まれたくない」と考え、共有持分の買取業者に相談
結果として、市場価格の6割程度で自身の持分を売却することができ、名義を完全に手放すことに成功しました。

住んでもいないのに税金だけ毎年払っていて、精神的にも負担だったんです…

専門家

そうした場合、共有持分の売却によって関係を清算し、精神的な負担も解消できます。


離婚後の共有持分をスムーズに処分する3つのステップ

離婚による共有名義の不動産を手放すには、順を追った冷静な対応が必要です。

ステップ①:名義と持分を確認する

  • 登記簿謄本で持分割合を把握する

  • 「住宅ローン残債の有無」も合わせて確認

ステップ②:売却方法を検討する

方法 メリット デメリット
共有者同士で売買 話がまとまれば手続きが簡単 関係が悪化していると難航
不動産仲介で売却 市場価格で売却できる可能性 持分のみでは買い手が付きにくい
専門業者に買取依頼 迅速に手放せる 査定価格は市場価格より低い傾向

スムーズな売却には「価格よりも確実性」を重視するのが基本です。

ステップ③:税金や諸費用を確認する

  • 売却益がある場合は**確定申告(譲渡所得)**が必要

  • 名義変更には登録免許税や司法書士費用がかかることも


離婚による共有持分売却の注意点

離婚後の売却には以下のようなリスクもあります。

  • 【共有者の不在】元配偶者が連絡不能だと協議が進まない

  • 【同意拒否】「売りたくない」と主張されると処分できない

  • 【感情のもつれ】合理的な交渉が困難になる

共有持分と任意売却の違い、および債務整理との関係性を解説した図解アイキャッチ画像
共有者が協力してくれない場合の売却時の交渉術と対処法を解説した図解アイキャッチ画像

このような場合でも、裁判所での「持分分割調停」や「共有物分割訴訟」など、法的手段を取ることで解決の糸口が見えることもあります。
ただし、時間と費用がかかるため、まずは専門家による買取相談
が現実的な選択肢です。


まとめ
離婚後の共有持分は、精神的・金銭的な負担を残す可能性が高いため、早めに処分することが望ましいです。持分の確認から買取方法の検討、税務上の手続きまで、段階的に整理することでトラブルを回避し、スムーズな清算が可能になります。感情に左右されず、プロの手を借りて確実な方法で進めるのが成功のカギです。