共有持分の売却で「知らなかった」では済まされない3つの落とし穴
思わぬリスクが潜む「共有持分」の売却
一見するとシンプルに見える不動産売却ですが、「共有持分」の売却には特有の落とし穴が存在します。
共有者との関係や法的手続きの複雑さ、思わぬ税金の発生など、事前知識がないまま動いてしまうと、後悔や損失を招くことも。
この記事では、**専門家視点から見た「共有持分売却の3つの代表的な落とし穴」**を解説します。
「知らなかった」で済まされないポイントを把握し、失敗を避けるための対策を考えていきましょう。
落とし穴①:他の共有者の同意が必要なケースと不要なケースの誤解
不動産の共有者が複数いる場合、「売却には全員の同意が必要」と思っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、正確には以下の通りです。
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自分の共有持分のみを売却する:他の共有者の同意は不要
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不動産全体を売却する:全員の合意が必要

ご自身の共有持分だけを売却する場合、他の共有者の同意は不要です。ただし、売却後の関係悪化やトラブルには注意が必要です。
自分だけの持分を売れるからといって、安易に行動するのは危険です。
買い手がつかない、共有者との関係がこじれるなど、実務上の問題も多く発生しています。
落とし穴②:想定よりも安く買い叩かれるリスク
共有持分だけを売却する場合、購入希望者は限られます。
そのため、以下のようなケースがよく見られます。
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一般の不動産会社では取り扱いを断られる
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専門業者による相場より安い査定
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売却までに時間がかかる
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売却方法 | メリット | デメリット |
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一般の仲介業者 | 広く募集できる | 共有持分単体では扱ってもらえないことが多い |
専門の買取業者 | スピード対応・実績あり | 査定額が低めになりがち |
とくにトラブルを避ける目的で早く現金化したい場合、買い叩かれやすくなる傾向にあるため、複数業者への査定依頼は必須です。
知っておくべき最後の落とし穴とその対策
落とし穴③:税金の申告ミスで追徴課税のリスク
共有持分の売却において、見落とされがちなのが「税金の申告」です。
売却により得た利益には、譲渡所得税が発生する可能性があり、これを適切に申告しないと税務署からペナルティが課されることがあります。
とくに以下のケースでは要注意です。
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売却益があるにも関わらず申告しなかった
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経費として認められない費用を差し引いた
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複数年にわたる売却をまとめて申告した

売ったあとに「税金かかりますよ」って言われてびっくりしました。申告しなきゃダメなんですね…

はい、たとえ共有持分の一部でも、譲渡益が出れば確定申告が必要です。忘れると延滞税や加算税が発生することもあります。
申告が必要な金額の目安は?
譲渡所得の計算式は次のようになります。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
取得費や譲渡費用には以下が該当します。
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取得費:購入時の金額(贈与や相続の場合は評価額)
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譲渡費用:仲介手数料、登記費用、測量費用など
控除としては「居住用財産の3,000万円特別控除」や、「所有期間5年以上での軽減税率」などが使える場合もあります。
控除の条件や適用可否はケースによって異なるため、税理士などの専門家に早めに相談することが望ましいです。
よくあるトラブル事例と対策
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落とし穴 | 具体的な内容 | 対策 |
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同意不要と思い込む | 他の共有者に相談せずに進め、関係が悪化 | 最低限の情報共有と説明が重要 |
査定1社のみ | 安値で売却してしまう | 複数社に査定依頼、価格交渉を行う |
税申告忘れ | 知らずに無申告 → 税務署から指摘 | 売却前に税理士へ相談し対策 |
売却トラブルを避けるための3つの鉄則
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売却前に持分の法的位置づけを確認する
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登記内容・持分割合を法務局で取得
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共有者と可能な限り合意形成を図る
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書面に残すことで後のトラブルを予防
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専門業者・税理士に早期相談する
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複雑なケースもスムーズに処理できる
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共有持分の売却には、「共有者の同意の誤解」「安値での売却」「税金申告ミス」など、見落としがちな落とし穴が存在します。これらは知らなかったでは済まされない重要なリスクであり、対策を講じることで回避可能です。知識を得て、信頼できる専門家と連携することが、成功への近道です。
共有名義の家を売りたいんですが、兄が反対していて困っています…。