相続登記しないと罰則も?知らないと損する最新ルール

相続登記の義務化と罰則に関する解説を表すイラスト
相続登記の義務化と罰則のポイントを1枚でわかりやすく解説
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共有者が死亡したら売却できない?相続発生時の注意点

共有者の死が不動産売却に与える影響とは?

不動産を複数人で所有している「共有持分」の状態において、共有者の一人が死亡するという事態は決して珍しくありません。
しかし、このタイミングで不動産の売却を検討していた場合、「すぐに売れると思っていたのに進められない」という状況に陥ることがあります。

共有していた親族が亡くなってしまって…。不動産を売る話が進められないのはなぜですか?

専門家

共有者が亡くなると、その持分は法定相続人に引き継がれます。誰がその権利を持つのかが確定しない限り、売却はできません。

死亡によって所有者の一人が不在となるだけでなく、新たに「相続人全員の合意」が必要となるため、状況は一層複雑化します。


なぜ「売却できなくなる」のか?法律的な仕組みを解説

不動産を売却するには、共有者全員の合意と署名・押印が必要です。
では、そのうちの一人が死亡してしまった場合、どのような状況になるのでしょうか?

結論として、亡くなった方の持分が「誰に相続されるか」が確定していなければ、売却そのものができません

つまり、次のようなステップが必要になります。

  1. 被相続人(亡くなった共有者)の法定相続人を確定する

  2. 相続人間で遺産分割協議を行う

  3. 協議の内容に基づき、持分を登記に反映させる(相続登記)

これらが完了するまでは、売却の話を進めることはできないのです。

共有持分と任意売却の違い、および債務整理との関係性を解説した図解アイキャッチ画像
共有持分売却後に起こりやすいトラブルとその予防策を解説した図解アイキャッチ画像


売却に影響する「相続トラブル」の事例とは?

相続において、次のようなトラブルが発生することが少なくありません。

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トラブルの内容 発生しやすい状況
相続人同士の意見不一致 誰が住むか、どう売るか、配分方法でもめる
相続人が不明・連絡が取れない 相続人の所在不明、海外在住などで連絡が取れない
相続登記が放置されている 数年〜数十年放置されている「未登記」の共有不動産

こうしたケースでは、物件全体の流動性が大きく低下し、「買いたい」という人がいても契約締結に至らないことも多々あります。


相続トラブルによる「リスク」とは?

放置された共有持分は、以下のようなリスクをもたらします。

  • 不動産の売却が長期化し、管理費や固定資産税だけがかかり続ける

  • 相続人の中に高齢者や認知症の方がいると、法的手続きに制限がかかる

  • 相続人の死亡により、さらに「孫世代」まで関係者が増える(数十人規模になることも)

このように、時間が経てば経つほど、問題は複雑になりやすいのが特徴です。

共有持分を売却する際に準備すべき書類とチェックリストを解説する図解アイキャッチ画像

相続が発生した場合の具体的な対応方法

相続登記は「義務化」されています

2024年4月から、不動産の相続登記が義務化されました。
これは、亡くなった共有者の不動産を相続した際、原則として3年以内に相続登記を行う必要があるというルールです。

違反すると、最大で**10万円の過料(罰金)**が科される可能性もあります。

親が亡くなって不動産を相続しましたが、登記ってしないとダメなんですか?

専門家

はい。2024年からは義務化されており、登記をしないままだと罰則があるだけでなく、不動産の売却や名義変更ができません。


スムーズな売却のためにできる3つの対策

共有者が死亡した後、共有持分の売却を進めたい場合には、次の対策が効果的です。

1. 法定相続情報一覧図の取得

登記の際に便利なのが「法定相続情報一覧図」です。
これがあれば、戸籍謄本の束を何度も提出する必要がなくなり、手続きが円滑に進みます。

2. 遺産分割協議を公正証書に

相続人同士で話し合った内容を「公正証書遺産分割協議書」として作成しておくと、後々のトラブル防止になります。
署名・押印だけでなく、誰が何を相続するか明記しましょう。

3. 相続放棄の可能性も検討

借金が多い、権利関係が複雑で面倒、という理由で相続を放棄することも可能です。
ただし、不動産だけを放棄して他の財産を受け取ることはできないため、慎重な判断が必要です。


相続で名義が分散すると売却が困難に?

相続によって1つの持分が複数人に分割されると、売却に必要な同意を得るハードルが上がります。

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状況 売却への影響
相続人が2〜3人程度 協議次第で売却可能。比較的スムーズ
相続人が5人以上 合意形成が困難。感情のもつれが出やすい
相続人に未成年・高齢者が含まれる 特別代理人や後見人の選任が必要になる可能性あり

このように、相続後の持分は時間と共に複雑化し、売却の障壁が高くなります。

共有持分を売却する際に準備すべき書類とチェックリストを解説する図解アイキャッチ画像
共有名義と共有持分の違いを専門家が視覚的に解説した図解アイキャッチ画像


専門家を頼ることで売却が可能になるケースも

不動産の相続トラブルは、素人だけでは対応が難しい場合が多いです。
そこで有効なのが、共有持分に特化した買取業者や不動産専門家のサポートを受けることです。

特に以下のような状況では、専門家による対応が不可欠です。

  • 相続人の数が多く、意見が割れている

  • 未登記のまま何年も経過している

  • 一部の相続人と連絡が取れない

専門家は、相続登記の支援・買取の提案・調整役としてのサポートなど、包括的な支援が可能です。

「時間がかかりそう」と感じたら、すぐに相談することがスムーズな売却への近道です。


まとめ
共有者が死亡すると、持分は相続人に引き継がれますが、それが確定しない限り売却はできません。2024年からは相続登記が義務化されており、放置すれば罰則やトラブルのリスクが高まります。複雑化を防ぐためには早期の登記対応や専門家の活用が効果的。相続による共有状態は「時間との勝負」でもあり、できるだけ早く動くことが成功へのカギです。