共有持分とは?意味・仕組み・リスクまでわかりやすく解説!

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訳あり物件の売却にお悩みの方へ。持分を高く売るコツを解説!
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共有持分とは何かを理解する

不動産の売買や相続で頻出する共有持分という言葉。しかし、初めて聞く方にとってはその意味が非常にわかりづらい概念でもあります。この記事では、共有持分の定義や仕組み、注意点を初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきます。

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共有持分とは?基本の定義

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している状態を指します。このとき、各所有者が持っている権利の割合を「共有持分」と呼びます。たとえば、相続で3人の兄弟が親の家を受け継いだ場合、それぞれが3分の1ずつの持分を持っていることになります。

登記上のルールと確認方法

共有持分は法務局の登記簿謄本で確認することが可能です。登記上には「Aさん:2分の1、Bさん:2分の1」などと記載されます。これにより、誰がどれだけの権利を持っているかが法的に明確になります。

両親が亡くなって兄弟で家を相続しました。登記を見たら共有になっているみたいなんですが、何か問題ありますか?

はい、共有名義の不動産は管理や売却の際に全員の合意が必要です。トラブルを防ぐためにも、早めの対策が大切です。

よくある共有持分の取得ケース

取得のケース 内容
相続 家族や親族が不動産を引き継ぐ際に共有になることが多い
離婚 夫婦共有で持っていた家を離婚後にそのまま共有にするケース
投資 複数人で共同出資して収益物件を購入する際のケース
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共有名義のメリットとデメリット

共有持分にはいくつかの利点もありますが、同時に大きなリスクを伴います。以下に代表的な特徴を整理しました。

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メリット デメリット
費用やリスクを分散できる 売却やリフォーム時に全員の合意が必要
相続時に公平な分配がしやすい トラブルが発生した場合、処理に時間と費用がかかる
不動産投資に参入しやすくなる 他の共有者が行方不明・音信不通になると手続きが難航
共有持分はメリット以上にリスク管理の方が重要です。

なぜ共有持分が問題になりやすいのか?

共有名義の不動産では、一部の所有者が使用・管理・売却に消極的だったり、連絡が取れないケースが多く見られます。そのため、自由に処分したり利用したりすることが難しくなり、結果的に「訳あり物件」として扱われることも少なくありません。

兄と一緒に所有している土地があるけど、全然連絡が取れないんです。売りたくても進められません。

共有者の同意が取れない場合でも、法的手段や共有物分割請求などで解決できる可能性があります。

注意点①:持分が少なくても権利は平等

共有持分の割合にかかわらず、所有権は法的に対等です。

たとえば、Aさんが70%、Bさんが30%の持分を持っていても、どちらも「所有者」であることに変わりはありません。Bさんには「勝手に売られたくない」「使いたいときに使いたい」といった法的な主張をする権利があります。

わたし、10%しか持ってないけど口を出してもいいの?

はい、もちろんです。たとえ1%でも共有者には使用・処分に関する権利があります。

このように、持分が少ないからといって無視できるわけではなく、むしろ調整が重要になります。

注意点②:登記簿上の名義を確認しておこう

不動産の共有状態は、法務局で発行できる登記事項証明書(登記簿)に明記されています。これには各共有者の持分割合や住所、氏名などが記載されており、法的に有効な情報となります。

誰がどれだけの持分を持っているかを把握することは、売却や相続、賃貸などあらゆる判断の出発点です。

とくに、相続登記が未了のまま放置されている物件は、所有者が増え続けてトラブル化しやすいため、早めに調査しておくのが賢明です。

父の名義のまま放置されてる古家があるんですが、売るときに困りますか?

はい、相続登記を済ませていないと売却は原則できません。まずは名義の整理が優先です。


注意点③:意思決定の「ルール」を理解する

共有不動産に関しては、意思決定に関するルールが民法で定められています。すべての共有者の同意が必要なケースと、多数決で決められるケースを把握しておくと安心です。

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判断内容 必要な同意
日常的な使用(掃除、施錠など) 単独でも可
軽微な修繕(雨漏り補修など) 過半数の同意
売却・担保設定など所有権に関わる処分 全員の同意が必要

売却や名義変更といった「処分行為」には共有者全員の同意が必要です。

このルールを無視すると、あとで法的トラブルに発展する可能性があります。共有持分の取引は、専門家によるサポートが不可欠といえるでしょう。

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共有持分の将来対策と専門家の関与

「将来、揉めたくない」「子どもに負担を残したくない」と考えるなら、以下のような事前対策を検討しておくと安心です。

  • 遺言書や家族信託で「誰に何を継がせるか」を明確にしておく

  • 生前贈与や持分整理によって共有状態を解消しておく

  • 問題発生時は早めに専門業者や司法書士に相談する

名義が分かれてると何かと面倒って聞いてたけど、やっぱり早めに整理した方がいいのね。

そうですね。事前に動いておけば、家族間のトラブルや将来の負担を防ぐことができます。


まとめ
共有持分とは、不動産を複数人で所有する状態を指し、民法上のルールやリスクが伴います。相続や売却の場面で複雑化しやすいため、登記の確認や共有者間の調整が欠かせません。事前に対策することで、将来的なトラブル回避につながります。