「持分だけ売った人」に残るリスクとは?売却後に残る義務
持分だけ売却しても「完全に手放せた」とは限らない
不動産の共有持分だけを第三者に売却する行為は、法的には可能です。しかし、その後も一定の責任や義務が残ることがあるため、単なる「所有権の譲渡」とは異なる注意が必要です。
特に、売却した後に他の共有者との関係性が続く場合や、物件に関する管理義務・費用の負担が残っているケースなど、思わぬトラブルに発展することもあります。
売却しても「所有者としての義務」が消えるとは限らない
不動産における共有は、持分の売却によって終了するものの、「共有状態」が続く限り、関係者間での合意形成や負担義務は完全に消えるわけではありません。

はい、持分を売却した後でも、売却先との間に発生するトラブルや、過去の管理責任を問われるケースもあります。
たとえば、売却後に発覚した瑕疵や未払い費用について、過去の共有者としての説明責任を問われることもあります。
売却後にも残る「3つのリスク」
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リスクの種類 | 内容 |
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管理義務の継続 | 売却前に発生していた修繕・費用の分担が清算されていないと請求が来る可能性あり |
新共有者とのトラブル | 第三者が持分を取得した場合、残る共有者との意見不一致で問題が発生するケースがある |
瑕疵担保責任 | 売却時に説明不足があった場合、損害賠償を請求されるリスクが残る |
売却=責任解消とは限らず、「適切な手続き」と「情報開示」が重要です。
トラブルを防ぐための3つのポイント
売却後に発生するリスクを防ぐには、以下のような対策を講じることが有効です。
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契約書にて義務の範囲を明示する
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清算金・過去費用の整理を事前に行う
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共有者へ事前説明・同意をとっておく

共有持分だけ売っても、あとから他の共有者と揉めることがあるんですね…

その通りです。売却前に共有者との関係や費用の清算を丁寧に行っておくことが、後のトラブル防止につながります。
売却後の「義務と責任」を減らすためにできること
持分を売却しても、一定のトラブルに巻き込まれる可能性があるのは前半でご説明しました。ここでは、売却前後に実践すべき対策について詳しく解説します。
売却時に必ず用意したい書類と契約内容
持分売却は一般的な不動産売買とは異なるため、必要な書類や契約内容も慎重に整える必要があります。
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書類の種類 | 内容と目的 |
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登記簿謄本 | 最新の権利関係を確認するために必要 |
売買契約書(個別条項あり) | 過去の費用分担や説明責任の有無を明記 |
管理費や修繕費の清算明細 | 精算トラブルを未然に防ぐために提出しておくとベター |
共有者間の覚書(任意) | 他の共有者との合意内容を文書化し、トラブルを防止 |
これらの準備が不十分だと、買い手や他の共有者から「説明がなかった」として後から責任を問われる可能性があります。
買主がトラブルメーカーだった場合の事例

共有持分を売った相手が、他の共有者とトラブルを起こしてるらしくて…私にも何か責任あるんでしょうか?

買主の行動が原因のトラブルでも、売主の説明義務が果たされていなければ責任を問われる場合があります。売却前の契約書でしっかりと線引きをしておきましょう。
共有者間で紛争が起きた場合、元の所有者として過去の管理状態や経緯の説明を求められることもあります。
売却後に避けたい「NG行動」とは?
後から責任を問われやすい行動は以下のようなものです。「もう関係ない」からと油断しないことが大切です。
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買主に対して物件の詳細を一切説明しない
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修繕費や過去の未払い金を未整理のまま放置する
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他の共有者に売却の連絡をせず、突然の名義変更にする
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専門家を通さず個人間で取引を済ませる
リスクを最小限にするためのまとめチェックリスト
売却を検討している方は、以下のポイントを事前にチェックすることで、後のトラブルや義務発生を最小限に抑えることが可能です。
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共有者に売却意思を伝えているか?
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売却先に対して瑕疵や管理履歴を説明しているか?
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契約書にトラブル時の責任範囲を明記しているか?
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専門の不動産業者・司法書士を間に入れているか?
これらが整っていれば、売却後も安心して次のステップに進めるでしょう。
共有持分を売却したからといって、自動的にすべての責任や義務から解放されるわけではありません。買主との間に不明確な点があると、トラブルの火種となり得ます。売却時には必要な書類や契約内容をしっかり整え、共有者や買主との信頼関係を築くことで、将来のリスクを大きく減らすことができます。
持分だけ手放せば、もうその物件には関係ないと思ってましたが…何か残る義務があるんですか?