共有持分のある私道とは?どんな問題が起きるのか
共有持分とは、ある不動産を複数人で所有している状態を指します。たとえば、土地の所有権を3人で等分している場合、1/3ずつの「持分」を持っているということになります。そしてこの共有関係が、私道のような共用空間に関わるとき、様々なトラブルや疑問が生じます。
私道の共有持分は、通常の住宅地の一部に組み込まれていることが多く、土地の一部として見落とされがちです。しかし、道路として使うには他の共有者の同意が必要になる場合もあり、日常生活や不動産取引に影響を及ぼす可能性があります。
よくある共有私道のパターン
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パターン | 内容 |
---|---|
通行目的でのみ利用 | 所有はしているが、建物の敷地とは無関係なため登記は残る |
自分の家の前面道路として利用 | 自宅の出入りに不可欠だが、共有者が複数存在するため手続きが複雑 |
他人の敷地内を通る形の私道 | 通行権の主張は可能だが、売買や建て替え時に問題化することがある |
共有持分のある私道で起きやすいトラブル
共有持分のある私道では、通行や補修、売却時の対応などでトラブルが頻発します。
通行権に関する争い
通行が暗黙の了解で許されていたとしても、法律上の通行権が明文化されていないと、ある日突然通行を拒否される可能性があります。これにより日常生活に大きな支障が出るケースもあります。
補修費用の負担問題
共有の私道に損傷があった際、誰が修繕費用を負担するのかが明確でないケースも多く、特に費用を出し渋る共有者との間でトラブルが起こりがちです。
売却時のトラブル
私道を含む土地を売却する際、買主が私道の共有持分について不安を抱き、取引が難航することがあります。買主側の金融機関からのローン審査に影響するケースもあるため、事前に共有関係の整理や通行権の明文化が必要です。

通行や売却が問題になるケースは多いですが、事前に通行権を明文化したり、共有者と協議しておくことで回避できますよ。
注意点① 私道共有の放置はリスクになる
共有名義の私道を放置していると、通行の制限・補修費用のトラブル・売却不能といったリスクが発生します。
特にトラブルが起きてからでは対応が難しいため、早期に対応しておくことが重要です。注意点② 通行権の明文化は必須
共有私道を通って他の不動産へ出入りしている場合でも、通行権の登記がなければ、将来的にトラブルになる可能性があります。
とくに相続や売却時には、「自由に通れる前提だったのに通れなくなった」「新しい所有者が通行料を請求してきた」といった問題が発生するため、通行地役権の登記や覚書の作成をおすすめします。
注意点③ 売却・相続・分筆時に注意が必要
私道の共有持分を含む不動産を売却する際、金融機関のローン審査が厳しくなることがあります。特に、共有状態のままだと評価額が下がったり、ローンが組めず売却が成立しないケースもあります。
また、相続時には共有者がさらに増える可能性があり、意思決定がより難しくなることもリスクです。
必要に応じて、共有者間での分筆や持分の買い取り交渉などを検討することも重要です。
共有持分のある私道は、通行・補修・売却の各場面で多くのリスクを伴います。トラブルを未然に防ぐためには、通行権の明文化や事前の共有者間調整が不可欠です。後回しにせず、専門家に相談することで安心して対処できるようにしましょう。
共有の私道って、自由に使えるものじゃないんですか? 売るときにも問題になるなんて不安です…